《太極拳の歴史》
太極拳の効能・効果の前に、太極拳の歴史(太極拳と呼ばれるに至った理由)を少し説明します。
中国の陳一族(河南省温県陳家溝)の地で、『拳経三十二勢』という武術が盛んに行われていました。その起源は17世紀の陳王挺より始まるという説が有力です。『太極拳』という名称が用いられたのは、王宗岳の「太極拳論」から陰陽の思想や中国古代の導引吐納法(氣功)をも結合させて出来上がった武術として合致していることから約170年ほど前に『太極拳』と名称を使うようになりました。ですので、陳家溝で古くから拳法として行われていた『拳経三十二勢』が太極拳に名称変更した拳法といってほぼ間違いないと思います。
(日本武術太極拳・指導教本より)
また、陳家出身の陳正雷大師の著書(陳氏太極拳テキスト)においては、陳家溝の陳氏先人は先祖から伝えられてきた拳術をふまえ、『易経』の陰陽学説や漢方の経絡説および導引吐納術、力学のてこの原理に基づいて、創造的に、陰陽の性質を持ち、剛柔を交互に入れ、遅速を相組み合わせて、人体の生理法則と自然の変化法則に適応した拳術を総合的に作り出し、これを太極拳とした。と、同様の解釈です。
なんにしましても、まず初めに護身術、身を守る拳法があり、後世になって太極拳と名をつけたことは確かなようです。拳法と太極理論を結びつけたことは、後に述べる「効能・効果」に、とんでもない叡智が潜むことになります。
銭育才老師の「太極拳理論の要諦」では、一言で太極拳とは何か?と、問われたら、『中国武術の一種で、太極という根本理念を全ての指導原則とする拳法』であると、結論づけています。
武術として套路と推手の練習があるわけですが、套路は重心の安定と平均を保ちながらその身体感覚を事細かく自己との対話(内観)をはじめ、関節の柔軟性、円滑と血行の活発化を促します。
推手では、相手の攻撃ベクトルをそらし(化)、相手の身体の平均感覚を崩しながら、自らの立場を絶えず有利に保つことに心がけます。
太極拳は、古代中国人の智慧や思想が詰った現代の処世術と定義すれば、現代科学の粋を集めたバイオメカニクス(BIO・MECHANICS生体力学)や量子力学的解釈を持って、古代中国人が人体実験で得た認証が、説明できてしまいます。
例えば、陳式太極拳の「発勁」を、バイオメカニクスを用いて説明すると、軸足で地面を押す作用・反作用の法則が中心にあり、COP(Center Of Pressure)を地面反力の作用点として身体の軸ベクトルを一直線に勁を掌根、又は腕の外椀部へ集結させる合理的な方法です。陳正雷大師のいうテコの原理とは、このことです。
それに+して呼吸法や勁道の意識は量子力学における素粒子の性質で説明できます。
最もこれは、現代科学をもってして説明できることであって、古代中国人は先人の身体動作、効果、実験を積み重ねた当時において、バイオメカニクスや量子力学を知る由もありません。
愛北太極拳クラブでは、立禅を大切に実施します。何故、立禅が重要なのか?抗重力筋を鍛える立禅、地球の重力の意識…要は自然の法則、宇宙の真理を身を以て利用、体現して行きます。(地球の重力を軸足の反力で身体の勁道を流して伝えます。)
例えば、この世は相対界の世界です。相対界とは陰陽の世界、陰陽の世界は自然・宇宙が作り出したものです。そのことを仏教では「諸行無常」といいます。まずそのことを太極拳の套路から学びます。が、その先は老子の云う「無為自然」の境地に至ることが、自我を無くす「諸法無我」の境地、即ち相対界からの脱出「涅槃寂静」です。(太極拳の推手から学びます。)ヨーガでは「心の死滅」と云います。言葉は違えど、言っていることは同じです。
自我が無くなれば、争うことはありません。そこには、臨機応変に対応できる人生の達人「道」タオイズムが存在します。そう、太極拳の最終目的は「道」タオイズムの世界を理解し実践していくことに他なりません。(ホームページ「老子道徳経」参照)
太極拳はただ単なる武術や健康体操だけではありません。それはごく一部の面でしかなく、その奥に推敲な人類の叡智が潜みます。私はそれを「玲瓏(れいろう)なる太極の世界」と表現しています。光輝く玉(太極拳)を掴んだ飛龍(易経・乾為天)の如く人生を謳歌して頂きたいと、心からそう思います。
また、健康面では脳科学の発展で脳から発生する神経伝達物質(エンドルフィンやセロトニン、ドーパミンといった幸せホルモン)の影響や、最新の量子力学理論の観察者効果による身体内機能の変化(波動エネルギーから意識を使った物質化現象。言い換えれば、人の精神活動がその形に物質的結果を作り出すと、いうことです。)、また身体の約70%は水分である科学データから水の性質(意識による水質の変化)を利用した摩訶不思議な世界が当たり前の常識として認知されようとしています。(中国古代思想家の老子は、このことを既に2500年も前に発見していたのには驚きです。)前置きはこれぐらいにして、そろそろ太極拳の効能効果を見ていきましょうか。
《 何故? 太極拳は身体に良いのか!》
太極拳の特徴的な動きが、我々の身体にどう影響するのでしょうか?
太極拳運動の特徴を7つあげて、その結果我々の身体にどのような影響結果を及ぼすのか、下記に箇条書きします。教科書的で無味乾燥としてますが、米国臨床データより裏付けされたものです。頑張って読んでみて下さい。
太極拳運動の特徴
1.ゆっくり動く
a.持久力強化…赤筋肉強化…肥大しない
(マラソン選手と短距離走選手の違い)
b.有酸素運動…逆腹式呼吸…血圧安定
c.伸長性収縮…引っ張られて腕を伸ばすこと⇒筋肉質の向上
d.短縮性収縮…曲げながら引き寄せること⇒筋肉向上
e.等尺性収縮…同じ姿勢をキープすること⇒体幹感覚向上
f.緊張(集中)と弛緩(リラックス)を繰り返すことによる充実と解放…心臓の負担低下
【その結果】
足腰強化…転倒防止…骨折予防…ボケ防止
ドーパミン増加…パーキンソン氏病予防
※集中力、幸福感(A10神経の刺激による脳内麻薬発生)頭痛解消
火事場のバカ力の強化増強
(発勁の威力増強)
筋肉強化・・・基礎体温上昇・・・がん予防
副交感神経優位=自然治癒力の向上
※脳内麻薬=エンドルフィン、セロトニン、ドーパミン等の神経伝達物質を云います。
※上記脳内麻薬はA10神経を活性化します。A10神経は、記憶力に関わる海馬や、思考力を担う前頭葉などのさまざまな部位を刺激するため、記憶や学習の効率を高めます。
2.足先(つま先)を上げる動作
前頸骨筋強化…転倒防止…ウォーキングやランニングより効果的
a.転倒防止
b.アキレス腱ストレッチ…血行促進
c.大腿四頭筋及び大腿二頭筋の強化
d.第二の心臓「ふくらはぎ」の強化
【その結果】
骨折予防・つまずかなくなる。
脳強化
神経伝達回路のメンテナンス
体幹バランス強化
心筋の負担軽減
3.後ろへ動く・横へ動く
バランス強化…運動感覚強化…脳のメンテナンス…ボケ防止
a.脳の強化
b.外耳、蝸牛部分の強化…めまい防止
【その結果】
危険予知能力強化…より効果的な危険察知能力を向上させる方法を以下に記入。
1.目を閉じて練習する…五感の一部機能を停止することにより、他の機能能力を向上させる。第六感の強化開発!
2.手のひらの向きを変えてみる。…自己のちょっとした身体変化を感じる。自己は小宇宙。自己を知ることにより、大宇宙(大自然)の僅かな変化を感じとる能力を鍛える。
(例)
1.御嶽山噴火前、その僅かな変化を感じた者は命が助かります。
2.京都アニメーションでの殺人火災で生き延びた人、残念ながら亡くなられた人の違い。
3.新幹線等の過小個室空間での殺人から脱出できた人、できなかった人。
4.飛行機墜落事故で助かった人、助からなかった人。
※生き延びる人に入る!今の世の中、危険な目に合わないようにする…なかなか難しいですね。生きていく上で、必ず一度や二度は生命の危険なめに遭遇することは無いとは言い切れないでしょう。その時、太極拳の練習は生き延びる確率を確実に増やしていきます。
4.片足立ち
バランス感覚強化…骨密度上昇
a.脳の強化
b.足腰強化
c.第ニの心臓強化(ふくらはぎ)
【その結果】
ボケ防止
心臓負担の軽減
尿疾患予防
インナーマッスル強化
骨粗鬆症予防
5.中腰で歩く
中心軸の感覚強化…バランス感覚強化…足腰強化
a.尾露骨を巻く…仙骨を立てる…腰痛予防
b.逆腹式呼吸…腰痛予防…ストレス発散
c.骨と関節強化
足腰低下…ゆっくり動く太極拳のバランス運動を
アメリカ合衆国は臨床に導入しています。
中腰は下半身強化…筋肉強化…大腿四頭筋強化
【その結果】
骨粗鬆症の予防…踵を刺激することにより、骨芽細胞と破骨細胞のバランスを整えます。
体力低下防止…持久力向上させる赤筋(肥大化する白筋に対して肥大化しない筋肉を赤筋といいます。)の質を向上する。筋肉繊維組織のメンテナンス強化。
6.意識、呼吸、動作を合せる(調心・調息・調身)
精神集中…脳の強化…ストレス発散
ボケ防止
癌予防
血流促進…冷え症防止
氣の流れが良くなる・・・未病の改善
肺活量増加…肥満防止…生活習慣病予防
代謝異常を正常化…糖尿病予防
【その結果】
疲労回復
メタボリック症候群防止
自律神経失調症防止
心肺機能向上
血液循環改善
消化機能改善
※調心、調息、調身とは、意識、呼吸、身体動作を調和させることをいい、真言密教の三密と同じ意味です。変性意識によるトリップ効果により集中力が強化され五感以上の意識(第六感)へのアクセスを容易にします。潜在意識を顕在化するといっても良いかもしれません。それは、日常生活に驚くほど良い影響を及ぼします。
※般若心経の眼耳鼻舌身(五感)が色声香味触(五根)に対応し第六感は意=法(意識がこの世の中を支配する)を既に見抜いていることに注目です。
※同じく般若心経の「色即是空・空即是色」は量子力学の観測者効果(二重スリット実験…人が観測すると波動エネルギーは物質化する。)により証明できてしまうことから、最新の科学を裏付けとする紀元前300年前に唱えた釈迦族の一人の人間(ゴータマ・シッダールタ後の仏陀)が見抜いた宇宙の真理(諸行無常・諸法無我・涅槃寂静)を理論付けてしまいました。
7.リラックス(余分な力は使わない)・・・用意不要力
交感神経から副交感神経有利へ
α波発生(ミッドα)
神経伝達物質の増加
a.セロトニン…不安や衝動抑制、食欲調整、落ち着く
b.ドーパミン…意欲や動機、食欲増進、快楽系
c.ノルアドレナリン…集中力、やる気UP
【その結果】
老化防止…老化のペースを遅らせる。
自然治癒力強化・活性化
気分転換
ストレス発散・・・病は気から
代替医療(リハビリ)
α波発生により潜在意識の扉がオープン(顕在化)になる。
上記は米国臨床により確認され、広く世界に広まっている既成事実です。
クラブでは、具体的に動作をもって説明しながら理解を深めていきます。
また、太極拳は頭で身体を絶えずチェック(内視)しながら動いていきます。頭の体操はボケ防止に有効です。自分で間違いに気が付くことが大切です。他のスポーツは無意識レベルまで動作が出来るようになることを目指しますが、太極拳では真逆で絶えず無意識にならないように動作を意識化に置きます。量子力学でいう観察者効果で内観による副次効果(肉体の物質的進化、ホメオスタシス向上)を目指しているからなんです。
※柔軟体操では、必ずストレッチをする部位(筋肉)に意識を向けます。何故なら、上記の観察者効果…意識による思考の物質化で、よりストレッチが効果的になるからなんです。これは誰もが経験していることではないでしょうか。逆に意識しないと…効果は半減してしまいます。これは、量子力学の素粒子の観測者効果(普段は波だが観察すると粒になる二重スリット実験で確証済み)によります。
※間違いに気が付くことの重要性は、精神力強化、集中力強化が目的です。早く動いては、間違いに気がつきません。頭の中の知識と身体動作が違ったことに気づくことが目的です。常に冷静に自分を観察する訓練=マインドフルネスでもあります。だから太極拳はゆっくり動きます。
太極拳は、古代中国の陰陽思想や現代科学の量子力学の理論を包含し、古代仏陀が導き出した苦からの脱却である集中(サマタ)、気づき(ヴィパッサナー)をもって今に心を留めて過去、未来の無駄な思考を削ぎ落とし心の健全化、磨き、進化させ判断力の適正化をもってしてより良い幸せな生活を送るための人間磨き修行に他なりません。
例えば、太極拳で間違った動作をする。これは本人が正しい動作を知らない、もしくは正しい動作方法を知っていてもできない。それを正すのは指導者です。そしてその知識を知って正しい動作に修正するのは本人でしかありません。誤知を正知に変え繰り返し繰り返し動作を正しく直していく作業は、日常生活において正しく判断が出来る智慧を導き出すのによい訓練にもなるのです。
この訓練は、良い縁を見つけ出すのに必要な智慧を導き出します。原因と結果の法則は皆さんご存知でしょう。善い行いをすれば善いことが起き、悪い行いをすれば悪い結果を招く…もっと具体的にいえば、スイカの種を蒔けばスイカができ、お米の種を蒔けばお米が出来ます。太極拳の先生になるぞーと思えば太極拳の先生になれます。が、しかし…。因果の間に縁がないと達成しません。
スイカの種を南極に蒔いてもスイカはできません。お米の種を道端に蒔いてもしかり、太極拳を確かなクラブに通わなければ…そして継続しなければ先生にはなれません。資格試験でもそうです。宅建の資格を取りたい…良い教材に巡り合わないと結果はついてきません。誤知を正知に変える訓練は良い縁を導く訓練にもなります。
精神集中は副交感神経を優位にし、穏やかな波がたたない静かな湖面のように落ち着き(明鏡止水)、何事にも動じない強い心を作り上げます。一見穏やかで、ひ弱に見えますが…本当の強さを身につけた人間を目指します。
【参考】
*副交感神経で代謝が同化作用に転ずるとは・・・代謝活発化による新陳代謝増に転ずることを言います。
*交感神経はストレスがかかった状態。副交感神経有利とはストレスのない穏やかな状態。
ストレスが多いと免疫機能が正常に作動しません。お笑い番組を見るとNK(ナチュラルキラー細胞)細胞が活性化する実験は有名です。免疫機能向上は副交感神経有利の時、マキシマムになります。
また、交感神経は顕在意識支配下であり、副交感神経は潜在意識支配下にあります。潜在意識の扉がオープン状態の時、ポジティブな感情を入力すると、マーフィー博士は願望が実現すると云う。
もう一度、愛北太極拳クラブの目的↓を読んでみてください。各々の自己実現を目指せるのは太極拳の特徴です。それも禅や瞑想より効果的(敷居が低い=誰でも簡単に効果が得やすい)です。
《愛北太極拳クラブ目的》
当クラブは非営利で運営しています。クラブ員全員が、安全で明るく健康的な生活ができる心身を太極拳、氣功、ヨーガ等のエクササイズで護身し、身体機能の『消化・吸収・代謝・排泄』を正常に維持(ホメオスタシス向上)、自然治癒力・免疫力を向上し各々の目標、自己実現に向けてサポートします。第三者による介入や他団体からの勧誘は一切お断り致します。また、いかなる宗教活動・政治活動等は、当クラブでは行いません。
「If you can dream it, you can do it.」
(夢を描くことができれば、実現できる)
by.ウォルト・ディズニー
私の大好きな言葉です♪
前にも書きましたが、太極拳は意識化で身体を操作していきます。動作の間違いを気づき修正していくことは、言い換えれば間違えないように集中して動くことに意味があります。
また、無意識に動作をしてしまうと…身体が覚えてしまうことで間違いに気がつかない。頭の体操効果が全くなくなるのを防ぐことにあります。
太極拳の効能まとめ
呼吸に合わせてゆっくりと柔らかく円型に動く
途切れることなく同じ速さで動き続ける
左右の動作が均等で、衝撃が極めて少ない全身運動です。
いつでも、どこでも、だれでもできる!
これらの太極拳の特徴から、脚筋力の向上、バランス能力の向上、全身持久力の向上のほかにも、リラクゼーション効果が挙げられます。
また、套路を練習し終わる、若しくは套路を覚えた。と、いう達成感は自意識、目標達成欲の向上に寄与します。
達成感は積極的なポジティブシンキングに繋がります。
今まで出来なかったことが出来るようになった。各々の人生設計の目標をクリアー出来る自信に繋がります。
「私はできるんだ!」と云う、小さな積み重ねが大切です。それは心の充実と精神の向上を同時にはかることを可能にします。
その他、太極拳の健康への影響
健康の保持増進には、筋力向上、持久力向上、柔軟性向上、神経・筋協応の向上が大切です。
太極拳ではスクワットと同じような基本姿勢が続き、片足でバランスをとることも必要とされるため筋力や神経・筋協応能の向上にとても役に立ちます。さらにねじり動作が入ることにより、柔軟性の向上が期待できます。
実際に太極拳をしてみると、下肢の筋に充分な刺激を感じることができ、かつ気持ちが落ち着いた状態になることができます。これは他のスポーツでは味わえない特徴といえます。
*用意不要力に伴う心の強化(意識が絶えず伴い、力は不要)
1.自分が何をしているのか見ている。
2.周りに刺激されて生きている。
3.自発的な意志を持つ。独立した自己。
上記3つが心の働きのバランスを整えます。
心が鍛えられれば、肉体も同調します。何故なら思いが行動に現れ、行動がその人の心の現れに他ならないからです。
何も考えずに運動するより、陰陽のバランスを考えながら動く太極拳は大脳皮質細胞の血流を増量させます。これが、認知症予防・ボケ予防になります。
太極拳も氣功の一種です。氣功ですので内部エネルギー(混元の氣)の充電に最終的には重きをおきます。
足の裏から始まり、身体のパワースポットである経穴を意識し手の掌へ届け、また足の裏へ戻し最終的には下丹田へ充電されます。
この混元の氣を練り、増やすことは身体の寿命を伸ばすことに繋がりますし、危険察知能力「生きることの執着」を向上させます。
「諦めたら絶対にダメ!」身体の奥底から混元の氣は囁きます。
身体の微妙な感覚で氣の流れを感じますと、何とも言えぬ快感(老子は恍惚と説明)があります。脳内のモルヒネと言われるβエンドルフィンの分泌を増加させるからです。
太極拳を始めたばかりの初心者の方でもそれは分かります。何年も続けていると、起勢のみで身体の恍惚感が芽生えます。
太極拳を練習すると「気持ちが良い」と、よく言われるのはホルモンの働きによるものです。一般的にはランナーズハイと云われる状態です。
※βエンドルフィンは心だけではなく身体にも働きかけることで、心と体を結ぶホルモンとも呼ばれています。細胞の修復力を向上させて若さを保ってくれると共に、免疫細胞を活性化して免疫力を高め、感染症やガンなどを抑制してくれます。
余談になりますが、私の趣味の一つ登山で、下りは膝に体重の約3倍の負荷がかかり、昔痛めた左膝に痛みが出るときがあります。その痛みを止めるのに、気功療法とツボ療法を駆使するんですが、痛みが止まる仕組みもβエンドルフィンが関わっています。
βエンドルフィンの鎮痛作用は、モルヒネの約6.5倍も強力で、体内中どこでも重要な働きをしているのです。
身体が喜ぶ、この感覚増大こそが最終的に太極拳家の目指す所かと最近はそう考えています。現代はストレス過多ですから、それを解消することが第一優先です。ストレスは万病の元ですからね。
その訓練方法は愛北太極拳クラブ独自の練習方法にプログラムされています。
初心者(まだ入部したての頃)で、わけのわからない状態でも悲観する必要は全くありません。何故なら、真似ようとするだけで脳の進化効果(脳細胞の増加)があるものだからです。
よって…人生のクオリティーを上げることが可能なんです。
無極から開立歩へ移行し、両手を内旋させながら肩の高さまで挙げていく起勢(チーシー)をすると…直ぐにリラックスが始まると同時に集中力が上がり至福(気持ちがいい=良い気分)禅定に突入出来てしまうんです。
禅定とは、無心状態を云います。太極拳は意識の全てを「今、この瞬間」に集中させて自分の身体を内視して動いていきます。初心者の内は思考を伴いますが、キャリアを積んでいきますと、逆に思考を遮断して、変化のみを感じて動くようになります。
この訓練が日常生活において、柔らかで優しく、心がどんなことにも動じない毎日が朗らかに過ぎていきます。
気持ちをゆったりともって練習する太極拳を貴方の生活の中に取り入れて頂きたいと心より推奨したく、長々と蘊蓄を述べてしまいました。
何故なら…私自身が、今までの人生の中で太極拳を学び生活の一部として本当に良かったと、心から感じているからなんです。
ここまで読んでくださり太極拳が何故、私達の身体に良いか…その背後に最新科学的メカニズムが影響していることをご理解いただけたでしょうか?。
『私達は人生を完全なものにする何かを探し求めるのですが、大抵の人はそれを見つけることができません。しかし、それは目の前にあるのです。私たちがすべきことは、それに気づくだけなんです。それは、そこにあるからです。』
※心理学者マーチン・コー
余談ですが、ここで黒柳徹子さんの疑問にお答え致します。
『なぜ戦争が、この世の中から無くならないのか?』
それは、この世の中が「不完全」だからです。
一つだけ、ご質問させていただきます。
「あなたは…何のために、この世に生まれてきたのですか?」
どうでしょうか?答えられますでしょうか?
太極拳は、「動く禅」と云われています。自分自身に謙虚に、感覚に身を任せて真の自己を見つめる作業といえます。太極拳が、ゆっくり動く理由はここにあります。
先の問に完全なる答えを見いだす。正直、私もまだ確固たる真理には到達しておりません。偉そうなことを言うつもりはないのですが…その問いの答えは、一番先にとうた「なぜ戦争が、この世の中から無くならないのか?」に直結すると感じます。
そう、私自身も不完全なのです。
太極拳は、ただ単なる武術、健康体操ではありません。自分自身は何者かを問続け、何かしらの回答を得るに値するこの世の遺産なのです。
謙虚に太極拳を修行することにより、大自然(宇宙)の摂理(法則)を、「太極」陰陽の世界を身をもって体験し理解していきます。
どうか、自分の命を大切にしてください。この世に生まれた使命を一人一人が理解出来たとき…この世から「戦争」はなくなるのでしょう。少しでも完全なモノに近づく為に是非、太極拳をおすすめします。
太極拳は、自分の内面にアプローチしていきます。雑念は消えて…意識が集中し「今、ここ」を体感します。時間さえ感じ無い「空」なる次元で陰陽を展開していきます。すると…マーチン・コーが云う、素晴らしい宝物が自分の中に存在し、一体感(ヨーガでは梵我一如)を感じるはずです。
梵我一如…梵=宇宙(ブラフマン) 我=自分(アートマン)
【知的理解のヒント】
太極拳を練習することにより、太極「陰陽」のエネルギーを体感します。それは、月と太陽の関係が、地球や人間に及ぼす影響をしっかり知識として理解します。
『人間は自然のサイクルの中の一部』
・人間は酸素を吸って、二酸化炭素を排出する、木々の緑は二酸化炭素を吸収して酸素を排出すます。
・人間の便や尿は、農作物の肥やしとなって豊かなる土壌を形成し栄養分をそこから吸収し成長させる。その栄養素はまた、人間の口から人体に必要な栄養素となり、代謝されて古くなった細胞は体外に便や尿となって排出される。
人間だけではなく、地球上に存在する動物、生物の全ては地球を維持する大自然の一部であることを知識として理解します。人間の「気化熱」は、汗による体温調整です。太陽というエネルギーが自然のサイクルを生成するように(海を暖め、水分の蒸発は雨を降らせ地を潤おし、川となり、海に豊穣なる水分を流し込む、プランクトンの栄養素となり。プランクトンは魚の餌となる。そして人間の栄養素となります。)その体温調整もまた、大自然の縮図なのです。
人体の中には40兆個といわれる自分以外(これを含めて自分ではあるが)の意思で営む細胞や微生物が存在します。特に小腸の中の菌は重要な働きすることは承知の事実です。我々一人一人の生命を維持するのに働いてくれています。
宇宙もまた同じです。空に浮かぶ星々もまた同じ、地球に住む人類も同じ…古代中国の思想家「荘子」は、その事を既に2,500年の昔に語っているのです。
仏陀のいう「諸行無常」とは、変化し続けることはエネルギーの生成に他ならず、自然現象は陰陽の展開による相対界(この世)を維持生成すること。それが身をもって体感出来るのが、我々が練習する太極拳であり、その意味で貴重な人類遺産であります。
そこにある宝物を見てみませんか?そして、縁起によって全ての物と意味ある繋がりを経験し、こうしてココに繋がったのも何かの縁でしょう。このご縁を今後の人生に生かして頂きたいと心から望んでおります。今までとは違う自分を是非!発見して頂きたいと思います。
ここまで読んで下さり、心より感謝いたします。
いかがだったでしょうか?
太極拳の素晴らしさが伝わりましたでしょうか?
長々と、貴重な人生の時間を費やしていただけたこと、少し申し訳なく感じています。が、太極拳って凄いんだなぁ~と、感じていただけたのなら嬉しいです。
また、少しでもご興味を感じていただけたのなら、是非!クラブを訪ねてみてください。
両手を広げてお待ちしております。
愛北太極拳クラブ 部長 倉知
《付録》
孫式太極拳創設者 孫禄堂随筆より抜粋
太極拳は、老子の思想を具現化するものだ。身体の陽エネルギーの活性化は太極拳の練習後の立禅で実感できる。静的瞑想を続け、深く深く静寂の中に身体を巡るエネルギーを感じるでしょう。(小周天)丹田から出発して丹田に帰る。この軌道を繰り返す陰陽の合体されたエネルギーは、はじめは意識するが、やがて自然発生的に身体を巡るようになる。睡眠時でもそれはおこる。やがて私は空となり、全身至福状態に陥るのだ。内部エネルギーの鍛錬は、身体、心、精神から病気を撃退するまでに至ったのだ。
*空となる=現象の一部と化する。仏教でいう「諸行無常」(変化し続ける現象界の悟り)、ヨーガでいう「凡我一如」(宇宙と私は一つ)現代最先端科学「量子物理学」では、限りなく物質を小さくしていくと、人間も含めて素粒子の塊の一現象にか過ぎないことがわかります。言い換えれば、一つの形作る人間は素粒子の集まる現象といってよい。目に見えるものも、手で触るものも全てが素粒子の集まりである一つの現象にか過ぎないことがわかりました。(日本人初のノーベル賞受賞者、湯川秀樹博士曰く「般若心経の色即是空で現代物理学が全て説明できる」と、言っているほどです。)知識として認知していれば、孫禄堂の言葉を容易に理解できます。
★5月のプログラム
ヨーガ…月礼拝、気功…八段錦、太極拳…入門、24式、32式武器套路、陳式18式、推手
★太極拳技能検定のお知らせ5級〜1級
会場 枇杷島スポーツセンター
実施日2024年7月28日(日)AM9:15〜
申込分締切 7月12日(金)
★推手講習会のお知らせ
会場 枇杷島スポーツセンター
実施日2024年7月28日(日)PM2:00〜
込申込締切 7月16日(火)
《愛北太極拳クラブ目的》
当クラブは非営利で運営しています。クラブ員全員が、安全で明るく健康的な生活ができる心身を太極拳、氣功、ヨーガ等のエクササイズで護身し、身体機能の『消化・吸収・代謝・排泄』を正常に維持(ホメオスタシス向上)、自然治癒力・免疫力を向上し各々の目標、自己実現に向けてサポートします。第三者による介入や他団体からの勧誘は一切お断り致します。また、いかなる宗教活動・政治活動等は、当クラブでは行いません。
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